今治タオルって何？人気の理由とは

2021.01.28

タオル

今治タオルと聞けば、多くの人が高級タオルであることをイメージできるのではないでしょうか。しかし、そもそも今治タオルとは何なのか、他のタオルとどう違うのか、どうして高級と言われているのかまで知らない方は多いのではないでしょうか。今回は、そんな今治タオルの歴史や、人気の秘密について解説していきます。

この記事はタオル・繊維製品販売の宏進が執筆しています。

今治タオルとは

今治タオルの「今治」は地名です。今治市は愛知県北東部にある市で、世界最大のタオルの産地とも言われています。今治タオルとは、その今治市で生産されたタオルの総称であり、細かく鮮やかに染められた見た目が特徴のタオルです。今治市は、タオル作りに適した質の良い軟水に恵まれている土地です。例えば、高縄山系から流れてくる蒼社川の伏流水や、霊峰石鎚山から流れ出る地下水などは、重金属が極めて少ない上に硬度成分が低く、繊維の晒しや染めに適しています。この軟水を使って晒しや染めを行うことにより、繊維にダメージを与えず仕上げることができます。そのため、細かくて柔らかい風合いと、鮮明な色をタオルで表現できるのです。

今治タオルの歴史

では、今治タオルはいつ頃から作られるようになったのでしょうか。ここからは、今治タオルの歴史について見ていきましょう。

タオルの伝来と今治の綿業

そもそも、海外から日本にタオルが伝わったのは明治5年ごろ、日本でタオルが生産されるようになったのは明治13年ごろと言われます。西暦だと1880年ごろです。その頃の今治では、まだタオルは作られておらず、江戸時代から始まった綿作りが盛んでしたが、明治に入ると他地域の廉価な綿の影響で、今治の綿は一時衰退してしまいます。そこで立ち上がったのは、今治綿業の父と称される矢野七三郎です。彼が考案した、片面のみを毛羽立たせた頑丈で暖かい綿織物、伊予ネルの登場により、今治の繊維産業が再興していきます。

今治タオルの誕生

そして、タオルの伝来から20年ほど経った明治27年、阿部平助が綿ネルの機械を改造したことにより、タオルの製造が開始されました。更に、明治43年に麓常三郎が考案した、タオルを同時に二列織ることのできる機械によって、生産性が飛躍的に向上し、今治のタオル産業が盛んになります。その後、ジャガード織や、タオルに柄をつける技術が取り入れられ、今治タオルは地場産業となりましたが、時代の経過とともに、廉価なタオルに押されていきます。しかし、品質の良い今治タオルに感銘を受けた佐藤可士和が、今治タオルの素晴らしさをもっと広めるために、「独自の品質基準」を定めてブランド化していったことで、今治タオルブランドが確立されました。

今治タオルが人気な理由

多くの人から認められ、愛される今治タオル。ちょっと使ってみると、その質の高さが実感できるでしょう。ここからは、今治タオルの根強い人気の理由について、ご紹介していきます。

吸水性が高い

今治タオルは、高い吸収性を誇ります。それは、製造過程からこだわっているからこそ。品質の基準は、「洗わなくても最初から水を吸うタオルであること」とされているほどです。このような独自の基準で品質を管理するからこそ、今治タオルは多くの人に支持されるタオルであり続けているのです。

肌触りが良い

通常のタオルは、長年使っていくうちに糸が固くなり、ゴワゴワした肌触りになってしまいますよね。しかし、今治タオルは違います。今治タオルは、重金属が少なくて硬度成分が低い軟水で、繊維の晒しや染めを行うことにより、繊維を傷めずにタオルを仕上げることができるのです。何度洗濯しても、フワフワした肌触りが保たれているのは、この軟水を使った繊維の晒し、染めのお陰です。

今治タオルブランド認定のハードルが高い

今治タオルブランドの日の丸マークを見たことはありますか。あのロゴマークをつけるには、厳しい品質基準をクリアしなくてはなりません。例えば、タオルの吸水性をテストするための、5秒ルールというものがあります。このテストでは、タオルを水中に入れてから沈み始めるまでの時間が5秒以内であることなどが求められ、このテストをクリアすることで「今治タオル」として販売を認められます。こうした高い基準をクリアした証が目に見えることは、お客さんに選んでもらうために大切なことだと言えるでしょう。